食べ放題後の飲み会

その日、私はいつになくアクティブだった。

昼間は友だちとランチブッフェ、夜は別の友だちと飲みに行くという予定だった。

午前中からいそいそと街へ繰り出し、適当に街ブラしてお目当ての店へ向かった。朝どれ新鮮野菜が食べ放題のお店だ。新鮮な野菜が食べ放題で、野菜が不足気味の私は羊のように野菜をむさぼり食べた。

食品偽装問題で世間が賑わった後、その店が閉店してしまったのはなぜたろうか。深く考えるのはやめておこう。

お腹がはちきれそうなほど野菜を食べ、また街ブラして私は次の約束の地へと向かった。

いつもの彼女といつものお店で差しのみである。いつものようにお造りと適当なつまみでお酒を飲む。この日は焼酎をロックで。調子がいいのか酒が進む。

が、なにを血迷ったのかキンメの煮付けを頼んでしまった。キンメの煮付けはサイコーに美味しいのだが、この店の煮付けは量が多いのだ。大人四人で食べるぐらいがちょうどいいサイズ。でも、隣のテーブルの人が食べているのを見たらどうしても食べたくなってしまったのだ。

飲み会始めからお腹がほどほどにいっぱいだった私。でもお酒を飲むと食欲が増してしまう私。

キンメの煮付けが運ばれてきて、二人狂喜乱舞して食べ始めたのだが、減らない。皿の中のキンメが全然減っていかないのだ。

私たちは絶望した。そして飲んだ。それから、さっぱりしたものが食べたくなって、おしんこを頼んだ。

お腹がいっぱいだ。お酒が飲みたいのにお酒が入る隙間もないぐらいお腹がいっぱいだ。お腹がいっぱいなのに、二軒目に出掛けた。なぜなら、お腹がいっぱいだけど飲みたいから。

二軒目はレモンサワーと枝豆を頼んだ。でも、ちっとも減らない。お腹が苦しい。
あまりの苦しさにスカートのホックをはずし、チャックを少しだけ下ろしてしまった。

そうして時間が過ぎて行きお開きになった。

お腹が苦しい。帰りのタクシーのなかでもひたすらお腹が苦しかった。

家に着いた私は盛大に口からキラキラしたものを吐き出した。あースッキリ。

苦しさから解放され、深夜三時に再び家で飲み直した。

飲みに行く日の昼に食べ放題に行くのはやめにしようと思った夜であった。