父の酒、母の酒

父は毎日晩酌を欠かさない人だ。休日は昼間から飲んで、夕方も飲んで、夜中にも飲む。酒飲みだ。ただ、酒豪かと言うと違う。ただの酒飲みだ。飲むのは決まってビールの焼酎割り(←名前あるんですかね?)。毎日同じ量を飲み、同じように酔う。毎日飲んでいたら多少は強くなると思うのだが、いつも変わらない量で酔えるというのはある意味すごい。きっと酒が弱いのだろう。

 

母についてはチラッ書いたが、この記事の発言からもわかるように酒が強い。

お酒の飲み方について母からもらった衝撃の助言 - 酒と私

 

母がお酒を飲んでいる姿を初めて見たのは私が小学生の時だった。母の実家へ帰省中、親戚への年始参りへ母と一緒に行くことになった。母の実家(祖父母の家)から親戚のところへは歩いて数分。人見知りの私はたまにしか会うことのない親戚とは馴染んでいなかったので、できれば行きたくなかったが、お年玉の誘惑には勝てなかった。
 
挨拶に行くと新年ということで、朝にも関わらずビールが出てきた。(もちろんお年玉は一番最初に頂いた)母は、最初は遠慮してたものの、断わり切れず「一杯だけ」と飲み始め、一杯と言っていたのに勧められるままにどんどん飲み始めた。止まらなくなったようだ。自宅でお酒を飲む母を見た事がなかったので、幼い私は衝撃を受けた。何しろそれまで、女性はお酒を飲まないのだと思っていたのだ。
 
衝撃を受けた私は一足先に祖父母の家へと戻った。
 
母が戻ってきたのは昼過ぎだった。母は多少陽気だったような気もするが、いつも陽気な人なので酔ったという風でもなかった。母がお酒を飲めるという衝撃とともに、母は酔わないという衝撃を受けた小4の元日。
 
その後も母が自宅でお酒を飲むことはほぼなかった。数年に1回ぐらい酎ハイを飲んでいるのを見かけたぐらいだ。それが、子どもたちが社会に巣立つと羽を伸ばし始めた。パート仲間との飲み会がとても楽しいらしい。それは何よりだ。
 
久しぶりに実家へ帰ったある日のこと、母はパート仲間と飲みに出かけた。私は心配性なので母が帰ってくるのを待っていた。帰りに事故に会うんじゃないか、物好きにさらわれてしまわないかとヤキモキして待っていた。娘の帰りが遅いのを心配する親の気持ちだ。
 
母が帰宅したのは日付が変わってからだ。ご機嫌で帰宅した母は生ビールを10杯飲んで膀胱が破裂しそうだと言って笑いながらトイレへ駆け込んだ。
母は強し。